裏声で歌えマズルカ

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終電ちゃん 感想

 

注意:この記事には終電ちゃんの最終回までのネタバレが含まれています。

 

後はこれは言っておかなければフェアでは無いと思うので伝えておきますが、私がコーセルテルで1番好きな竜種は暗竜です。

 

 

今年は鬼滅といいトクサツガガガといい、私の好きな漫画が次々に終わってしまい、非常に寂しい年となってしまいました。終電ちゃんもそのひとつです。まずは藤本先生に連載お疲れ様でした、無事に完結させて頂きありがとうございますと謝意を述べておきたいと思います。

 

多分、日本に数人しかいない「烈車戦隊トッキュウジャーのEDに出て来た電車をググったら終電ちゃんに辿り着いたオタク」なので鉄道ファン(柔らかい言い方)としての視線は一切持ち合わせていません。私は電車のことを道具だと思っている身なので……トッティのことを一切批難出来ない身なので……

 

漫画を分解して要素を並べるのがあまり好きではないオタクですが、終電ちゃんの最大のアピールポイント、といいますか、私が惹かれたのは終電ちゃんたちの仕事したりオフに好きに過ごしたりする姿です。人が作り出した電車という機械、あるいは鉄道という機構から生まれた彼女たちは人のことを時には本人以上に理解しているけれども、決して人ではない。そして、終電ちゃんという種族(種族?)に誇りをもって業務を遂行している。

 

基本的にそんなに擬人化が好きではないタイプのオタクですが、終電ちゃんは達に関してはローファンタジーの固有種族みたいな受け取り方をしましたので拒否反応は出ませんでした。人情ものの基本1話完結で読みやすいこともあり、するする読んでいけるタイプの漫画です。この「読みやすい」というのは時に絵が綺麗とか画が上手いという要素よりも漫画には重要だと思っています。特に終電ちゃんは何処から入っても問題ないタイプの漫画なので、今からでも是非是非手に取って頂きたいです。コーセルテルの竜術士とか好きなタイプの人は好きな漫画なのではないでしょうか?

 

ただ、仔竜が成長する向こうと違い、基本的に終電ちゃんたちは成長はしませんのでその辺りを楽しみにすると辛いかもしれません。その代り終電ちゃんにまつわる人々の変化を楽しんだりは出来ます。

 

そして終電ちゃんたちも人に寄り添うだけなのかと言えば、結婚式場の手配に介入してみたり、色恋沙汰に関してアドバイスをしてみたりとそこそこ乗客の人生に介入したりもしています。病気の父親や母親のところに駆けつける人の話でも出てきましたが、終電に乗れる・乗れない、もっと言えば目的地に着ける・着けないで人生が大きく変わることってありますからね。即ち彼女たちは流れるものを司る女神という訳です。それを創り出したのは人間、結局のところ神話と信仰というのは人間の固有スキルなのかな、という表情にならないでもないです。