裏声で歌えマズルカ

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劇場版「鬼滅の刃」 無限列車編 感想

 

初手で言い訳をさせて戴きますが、私は劇場版を観に行くつもりは1ミクロンたりともありませんでした。職業上の諸々もあり、今年は極力映画を観に行かないスタンスを取っていたこともありますし、私が好きなのは漫画の鬼滅の刃なので。ただ、友人に誕生日プレゼントとして鬼滅のチケットを贈られ、「一緒に観に行こう」と言われたら大人しく観に行く程度には人間をしているもので鑑賞しに行きました。最低限度は社会的動物として生きています。

 

最初に言っておきますが、私が原作でベストバウトだと思っているのは兄上戦で、一番好きな話は遊郭編で、一番面白いと思っているのは刀鍛冶の里編です。これだけは最初に伝えておかないとフェアでは無いかな、と思いました。

 

無限列車編(アニメ)の話を纏めると「如何にして煉獄杏寿郎という男が一夜にして炭治郎のオム・ファタールに成りあがったか」になる、と言おうかと思っていたのですが、別に煉獄さんは炭治郎を破滅させない、どころか炭治郎を含めて死亡後も人の命を間接的に救っているのでこの表現は止めることにしました。煉獄さんに失礼だな、と。

 

個人的に刀鍛冶編で三途の河に落ちた炭治郎をもぎもぎしている手は17本で家族(父母弟妹)と錆兎、真菰を足しても1本足りないので、煉獄さんの手も入っていると思っています。簡単作画の対無惨最終戦予行という訳です。言うまでも無く対無惨最終決戦(この最終決戦で「強さというものは肉体に対してのみ使う言葉ではない」がかかってくるのが鬼滅のいいところだと思っています)でも炭治郎を押し上げてくれた訳で。オム・ファタールが炭治郎に居るのであれば引きずり込もうとしていた白髪の人の方が相応しい称号です。まぁ、破滅しなかったんですけどね!長男は!

 

ちょっと話が無惨様の方にそれましたが、映画では過不足なく「煉獄杏寿郎という男」が描かれていました。まぁ、原作でも描かれていたんですが。流石にVS役立たずの狛犬戦はアニメの方がエフェクトと作画、音楽、声優の熱演が相まって迫力があると思います。

 

実は私は浅草あたりでアニメ版鬼滅から完全にリタイアした人間なので、柱の声優の布陣を全く知らなかったのですが、風柱がCV関智一だと知り、兄を想い弟を想い(扉絵も含めて鬼滅で5指に入るベストエピソードだと思っています)はアニメも視聴しようと心に決めました。

 

といいますか、今回の映画でキャスティングに舌を巻かざるを得ませんでした。後述する石田猗窩座といい、CV関智一の風柱といい、何よりCVミキシンの炭十郎ですよ。炭治郎が悪夢で家族に責められるシーンが原作の数十倍辛かったのは大体炭十郎のシーンの所為です。冒頭のお館様の墓参りのシーンと炭治郎が家族に責められる夢を見てからの「言う訳ないだろう!」の2か所のシーンで泣きました。後は、一緒に行った友人が後半ずっと泣いていたので逆にこちらは冷静になっていました。そういうことは……ままありますからして……

 

そしてこの映画の白眉と言って良い石田猗窩座。正直、劇場で演技を聞いて度肝を抜かれました。原作を読んでいた時はなんとなく煉獄さんはCV増田俊樹、猗窩座はCV細谷佳正で台詞を脳内再生していたのですが、劇場版鑑賞後は完全に原作の猗窩座の台詞がCV石田彰で再生されるようになりましたからね。プロのキャスティングって凄いなぁ、という気持ちになれました。早く役立たずの狛犬して欲しいですね。そこもちゃんとアニメ見ます。

 

日野さんの煉獄さんも良かったです。個人的には梅ちゃんと妓夫太郎がくぎゅと日野さんでしょ、と思っていたのですが、石田猗窩座を産み出したスタッフがどんなキャスティングをするのか楽しみです。

 

ただ、これはテレビの時からそうなんですが「はい!ここは感動するシーンです!」みたいな露骨な尺の取り方は本当にアニメ版鬼滅君とは趣味が合わねぇな……となりました。といいますか、元々私はアニメよりも漫画・ゲーム畑の人間だし、ジャンプ漫画のアニメ化を1ミリも信頼していないタイプのオタクなので此処は仕方が無いと割り切っていきたいです。

 

総じて、原作をいい感じに纏めた劇場版だと思いました。

蛇足ですが、鬼滅の知識が一切無い初見の友人からすると煉獄さんが「劇場版限定柱」に見えたそうで、ちょっと面白かったです。特撮畑の人からするとそう見えるんですね。